ペルセポリス

で、昨日は米沢に帰る前に、同じ映画館で「ペルセポリス」を観て来た。
一応書いておくと、こちらは寝ませんでしたよ。


イラン革命やイラン・イラク戦争のときにイランで活発な少女時代を過ごし、国が宗教的・政治的にどんどん窮屈になっていく中、両親の勧めでウィーンへ留学。そこでいろんなことを経験した後帰国して大学に行くが、国内はもっと厳しく生きづらくなっていって・・・。という、現在はフランスにいるマルジャン・サトラピ監督の実話(始めはグラフィック・ノベルだった)をアニメ化した作品。
こんなふうに表現していいのかわからないが、非常にいい、そしておもしろい作品だった。
まず、アニメーションとして非常によくできている。話の内容からすれば実写で見せることもできるだろうが、アニメであるがゆえに省略したり強調したりという表現が可能になっている。その見せ方もすごくうまいしおもしろい。
それに、登場するキャラクターがいい。上から押さえつけられても、常に反抗心を捨てない主人公のマルジ(マルジャン)や、それを見守る暖かい家族達。決して平穏な生活ではないのだけど、それでも、みな誠実に生きていて、見ていてスッキリする。特におばあさんがいいんだわ。どんなことがあっても動じず、ぶれず、孫娘にはいつも「公明正大でありなさい」と教える。こんなふうに賢い女でありたいと思える人だった。
そして、今まであまり考えることのなかったイランの現代史と、その中で過ごした一人の女性の物語として、非常におもしろくて、考えさせられた。この主人公の女性は、実は私とそれほど世代が違わない。だから、「女の子」としてすごく共感できる部分があって。でも彼女を巡る状況は、私とは天と地ほども違うんだよね。
私が子供の頃、イラン・イラク戦争があったことは覚えている。だけど、その時とそれ以降、それ以上の何を知ろうとしただろうかと、自分の世界に対する無関心さについて、まるでドキュメンタリー映画を観たときと同じように、突きつけられた感じがした。
アニメが苦手でなければ*1、ぜひ観て欲しい映画です。
アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネートされたそうで、賞獲れるといいなあ。

*1:でもこれは日本のアニメとは違い、いわゆるアートアニメ的な作品なので、苦手な人も観られると思う