アメリカン・スプレンダー

自分のさえない私生活を描いて人気となったコミックの原作者の半生を映画化したもの。
そのナレーションを担当しているのが原作者のハービー・ピーカー本人で、映画の合間には彼のインタビューが挿入されるし、ドラマの中でハービーがTV出演するシーンには当時の本物の映像が使われていたり、撮影スタジオと思しき空間の中に演じる役者と本人が同時に存在していたりする。現実を映したドキュメンタリーと、それを演じたドラマと、それを撮影するメイキング、そして描かれたコミック。それらが混在している構成がおもしろい。
物語も偏屈男のオタク的心温まるストーリーといった感じでおもしろかった。不器用な人物たちの、案外ドラマチックなフツウの生活が暖かく描かれている。ただ、ハービー本人のアクと存在感が強烈すぎて、終わってみるとドラマ部分の影が薄くなってしまっていたような気がしないでもない。(笑)