69 sixtynine

69

「69」を観てきた。
1969年、佐世保での高校生活。始めは、主人公達が学校の屋上をバリケード封鎖する、というのが物語のクライマックスになるように思えた。ところが、その後が長い。ダラダラ長い。後半の方が長いんじゃないかってくらい長い。物語の構成としては正しくないかもしれないけど、好きだなあ、こういう感じ。若者の不毛さがでていて、笑えておもしろい。
「69年の匂いがしない」という批評を読んだことがある。私は生まれてないのでわからないけど、たぶんそうなんだろう。でも、これはこれでアリだと思うな。時代の空気より主人公達の青春模様に焦点を絞っているということで。
ラスト間際のスケート場を「フェスティバル」会場にしてライブをするシーンでは、「青春デンデケデケデケ」のライブ・シーンを思い起こした。あれもわりとダラダラした話だったけど(でも好き)。そういえば、時代背景は違うけど、ライブ・シーン以外にもこの二作品には共通する点が多い。高校三年生が何かしようとするところとか、地方の学生が外国の文化に憧れるところとか、方言まるだしのところとか。同じ西日本だから方言の感じもなんとなく似てるしね。


クドカンによる脚本は、オーソドックスな会話劇がうまい。ただ、一編の物語として見た場合にちょっと平板なのが欠点か。そして、笑えるけれど意外とおバカな台詞は少なかった。映画の中に散見されるおバカな印象を残すシーンは、脚本よりはむしろ演出によるところが大きいと思う。李相日監督の演出・編集にはクセがあって、もうちょっと普通にすればリアリティが増すんじゃないかとか、ちょっと悪ノリしすぎじゃ、と思わないでもない。そこが残念ではあるんだが、でもまぁ、終わり方がよかったのでこれもまたよし、かなあ。


妻夫木が自然ないい演技をしている。彼はずいぶんと演技がうまくなったね。TVドラマを見て特にそう感じたことはなかったんだが(演技を云々言えるほど真剣に彼の出演ドラマを見たこともないけど)、ここでの彼はすごくイキイキとした表情で演じていて、その中でときどき見せる不敵な面構えがまたとてもよい。安藤政信もいい。さすがに高校生役はもうつらいんじゃないかと思ったけど、意外にはまっていた。それにあの当時なら、これくらい老けた高校生がいてもおかしくないはず。(笑) あとは主人公の父親役の柴田恭平がとてもよかった。ちょっと軟弱だけど芯の通った親父をうまく演じていて、正直、彼のことを見直した。
そうそう。新井浩文はまたまた不良番長役だった。いいね、彼のキャラ。(笑)