ジョゼと虎と魚たち

ジョゼと虎と魚たち」を観てきた。
いい話だと思うよ。楽しく見たし、映像も気持ちよかった。悪くはない。
けど、ジョゼの存在を中途半端にファンタジーとして描いていることに、ずるいと感じてしまった。ジョゼに対する恒夫のスタンスに対しても。彼はそういうキャラクターでそういうお話なのだからそれでいいのだと言われればそれまでなのだけど。
恒夫がフラフラしている男として描かれているから、観ている側はいつまでたっても二人の関係について恋愛ものとしての安心感をもつことができない。結局その不安は的中してしまうわけだが、(彼らの不安定さにこの映画の魅力を感じつつも、)それでも二人は幸せな時間を過ごしたしジョゼも幸せだったんだからいいでしょう、というのはずるいんじゃないですか、と思う。彼女をお話のための都合のいい存在にしていませんか、と。ラストに電動車椅子で買い物をするジョゼの姿があってよかった。でもそれも言い訳のように見えてしまうんだよな。


妻夫木は優しいけど調子のいい普通の大学生をリアルに演じていたと思う。ちょっと頭の悪いところもリアル。(笑) 池脇千鶴については作為的な演技がなんとなく苦手だったんだが、今回もやはりその印象は変わらず。でも上手いとは思うんですよ。私が苦手ってだけで。ジョゼという役柄も彼女だからこそ演じられたのだと思うし。
あとは、新井浩文がいい。この人はこういう役一直線みたいだが、どれもどこかかわいさがあって憎めないキャラになっているのはこの人の功績だろう。