女はみんな生きている

CHAOS

「女はみんな生きている」を観てきたんだけど、いやー、おもしろかった!今年観た中では一番かもしれない。
パーティーに行く準備をしている夫婦、彼らが車に乗っているところに男に追われる娼婦が走ってくる、彼女が夫婦の車のフロントガラスに頭を打ち付けられて大けがをする、助けようとする夫人とそれを制止する夫、そして彼女を置き去りにして走っていく車−−というとても印象的で決定的なシーンが冒頭のものの1,2分で展開する*1ところからグイグイ引き込まれてしまった。スピーディーでテンポのいい演出。ショットもいちいち絵になっていて、監督のセンスのよさを感じる。
マフィアと売春婦の関係やフランスに住む北アフリカ移民家庭の問題など、物語の中心にはシリアスな部分があるのだが、その周りに、女のしたたかさや男のダメさ加減をうまくコメディーに昇華して散りばめてあって、最初から最後までなんだか笑える作品になっている。その辺のシリアスとコメディーの案配もいい感じ。
夫人が事件に巻き込まれながらどんどん大胆になっていくのに対して、男達(夫や息子たち)が皆ヘタレなのがおかしい。娼婦ノエミの「男の心に火をつける」テクニックにまんまとひっかかった(同じ女性(ノエミ)に恋してしまった)夫と息子がノエミとともに家の中で三人ごたいめ〜んのシーンは抱腹絶倒の面白さ。
そして(ハラハラドキドキしたり笑ったりしつつ)最後にはいろんな意味で女性の強さが印象に残る映画なのだった。


女性二人の何気ない格好がセンスよくきまってるところがいかにもパリっぽくて、そんなところも観ていて楽しめる。ノエミ役のラシダ・ブラクニはモデル並にスタイルいいし。音楽もいいなあと思っていたら、St.German(既発曲からセレクト)だった。なるほど。ギリギリのところでコメディーの方に振れているような音楽の使い方もセンスいいです。

*1:車のシーンが終わった辺りでやっとクレジットがでてくる