ARABAKI覚書

makizo2009-05-01

( )内はステージ名。
一応毎年それなりの性格付けがある(、と思う)。陸奥がメインステージ。荒吐はわりとパンクっぽいのやハードコアのが多いかな。花笠はテントステージで、それに合った室内向けっぽいのやVJを使うものをやっている。津軽はしっとりしとた歌モノやワールドミュージック系が多い印象。一番奥まったところにある鰰は一番オルタナっぽい。ギターロック、ポストロック、ジャズっぽいのまでいろいろ。
とは言っても、上記は「なんとなく」であって、それに合わないステージ割はいくらでもあるのだけど。


4月25日(土)
nhhmbase津軽・・・途中からになっちゃったけど、やっと見れたという感じ。ボーカルがおもしろい。もう少し見たかった。
キセル(花笠)・・・これも途中から。すでに人で一杯で、テントの外から見てたら一人しか見えなかった。よかったなあ、ライブ。今まで聴かず嫌いだったのだけど、思いの外よかった。意外にブルースっぽさがあるなという印象。聴いてたらちょっと泣きそうになりました。
ジッタリンジン陸奥・・・キセルが終わったあとどうしようかなあと思ってたら、陸奥から"プレゼント"が聴こえてきて、自然と体がそっちに向けてダッシュしていた。最後3曲くらいしか聞けなかったが、かっこよかった。まだまだ現役だったのね。出演アーティストにこの名前を見たとき実はちょっとバカにしていたのだが、見られてよかった。
怒髪天陸奥・・・フェスでもなければ見ないバンドだとは思うし、見たのは数曲だけだけど、楽しかった。MCで草なぎの会見のことがいじられてて笑ってしまった。後で見た2ちゃんによれば、この日はARABAKI出演のいろんなアーティストが草なぎをいじってたらしい。あの場で彼はバンドマンのアイドルだった。
THE NEATBEATS荒吐・・・ここでも草なぎの話題が。「みんなで地デジに移行だ!」って(笑)。ニートは2年ぶり?かな。自然と体が動いてしまって、踊りまくりました。レインスーツ来た人たちが、ボーカルの動きに合わせてみんなで前に行ったり後ろに行ったりする様はなかなかかわいらしく、おかしな風景。
YOUR SONG IS GOOD津軽・・・オルガンの調子が悪かったらしく、あり得ない極悪な音を出していたが(^^;、そういうのも含めて野外フェスならではという感じで楽しかった。ゆったり踊れる感じ。
REDEMPTION 97(荒吐・・・やっぱフェスにはスカだよねぇってことで、そのまま元POTSHOTと元KEMURIのメンバーがいるバンドのライブへ。なんちゃってスカダンスで踊りまくり。そういえばKEMURIのARABAKI最後のライブもこの荒吐ステージだったなあ、などと、ちょっと思い出してしまった。楽しかったけど、次の二階堂和美のために早めに移動。
二階堂和美津軽・・・こういう歌い手を初めて見た。パーソナリティも歌い方も強烈に個性的で、ちょっとこれは衝撃的と言ってもいいくらい。周りのあらゆるものから自由であるかのような歌い方もすごいし、さらにびっくりしたのは、ハモンドオルガンが鳴ってる、と思ったら、それも彼女の「声」だったこと。「歌」だけでなく、ボーカルが自由に音を奏でているという、このスタイルにはすごいの一言。終りの方でユアソンと共演した"関白宣言"には、感動して涙が出てきた。予想を上回るすごさだったという意味では、今回のARABAKI一番の収穫だと思う。
土曜日はここまで。


4月26日(日)
SOIL&"PIMP"SESSIONS(鰰)・・・とにかくかっこよかった!しびれた!踊った!これはしっかりジャズだよね。そういう音楽に合わせてこんなにたくさんのお客さんがノリノリで踊っているというのはなんて素敵な情景なんだろう。朝の一発目から踊れたことで気分が上がったし、とても爽やかで幸せな気持になれた。昨年のスペアザと同じような感じだ。スペアザも鰰で朝から踊れたから。
土岐麻子津軽・・・シンバルズのときの印象しかなかったのだが、うーん・・・。歌に全然惹きつけられるものがなかった。残念。しばらく聞いて移動した。
GRAPEVINE(鰰)・・・機材の調子があまりよくなかったっぽい。悪くはなかったと思うけど、それほど良くもなく。とりあえず最後まで見たが。
OGRE YOU ASSHOLE(花笠)・・・USインディからの影響がモロわかり(笑)。私はBuilt To Spillなんかを思い起こしたりした。でもこういうインディ・ポップは好きだし、それを日本で日本語でやってるというだけでちょっとうれしい。
iLL(花笠)・・・それなりによし。後でROVO見ちゃったからなあ。でもまあ、よかった。
トクマルシューゴ(花笠)・・・飄々としたキャラがなかなかよい。(^^; サウンド・チェックのときに出てきて、「あーあーあー、牛タン、あー」と、しれっと言ったり。ライブは・・・、まずギターがうまくてびっくり。歌もよかったけどね。それと、トイ・ミュージックのような音をライブで再現する様子もおもしろかった。女性がガラガラみたいな楽器を淡々とした表情で次々に持ち替えながら演奏していく様はなかなか見る価値あり。
スガシカオ津軽・・・一昨年、一人で弾き語りしたときも見たのだが、今回はなんとも・・・。今の音楽は、本当に彼がしたかった音楽なのだろうか。それとも、彼は今単に本当にロックモードなだけなのか。まあ、本人がいいのならいいんだろうけど。
AUDREY(鰰)・・・スウェーデンから来たポストロックバンド。珍しいのは、女性のみの4人組というところと、4人中、ギターとキーボード(兼チェロ)とドラムの3人が曲によってメインボーカルをとるところ。女声だけだから、声に透明感があるのがいい。特にキーボードの人の声はちょっとビョークっぽい。正直言って客は少なめ、しかも鰰はステージ前が田圃のようにぬかるんでいたため、あまり前の方に積極的に出ていく人が少なくてちょっとさびしい感じはあったが、ライブはなかなかよかった。ポストロックという言葉で想像される枠を超えるほどのすごさではなかったが、その編成からくる個性はあったんじゃないだろうか。終わった時、近くの誰かが「もっと大きいところでやる人たちだよね」と言っていたのが印象的だった。まあ、今回は時と場所が悪かったか。でも、昨年のDo Make Say Think(去年のARABAKIの私にとってのベストアクト!)といい、今回といい、洋楽の中でもわざわざポストロックみたいな(少なくとも邦楽メインで聴くようなリスナーには)マイナーなジャンルのバンドを邦楽フェスに呼ぶチャレンジャー精神は素晴らしいので、今後もぜひ続けていってほしい。主催者が何を思ってやっているのか、その意図はわからないが。
Port of Notes津軽・・・気仙沼大使・畠山美由紀さんの今年のバンド形体(笑)。昨年は同じ津軽で、Double Famousでの出演だった。エキセントリックに何かすごいところがあるわけではないのだが、真っ当で、オトナで、素晴らしい音楽。すごく贅沢な時間を過ごすことができた。
TOKYO No.1 SOUL SET(鰰)・・・こんなにロックっぽかったっけ、とか、BIKKE、半そで!寒!などと思いつつ見ていたが、かっこよかったなあ。堂島孝平のために途中で抜けたのが残念だったけど、楽しめた。
堂島孝平×HICKSVILLE大貫妙子津軽・・・まず、大貫妙子ですよ!その生声ですよ!大げさなようだが、"ピーターラビットと私"を目の前で聴けただけで、来た甲斐があったと思った。それに加えて"ダウンタウン"! ああ。本当に来られてよかったです。大貫妙子は途中で抜けたのだけど、その後も、ARABAKIの(ほぼ)常連・堂島孝平による、サービス精神とARABAKIへの愛に満ちたライブが見られて最高の気分だった。あの悪天候の中ステージからダイブするわ、さらに柵に乗って歌うわ、ステージでバク転するわ、(おなじみの、)歌の地名をARABAKIに換えて歌うわ・・・(笑)。彼は単独より、他の人と一緒だったりゲスト出演だったりが多い気がするが、今後もこうしてARABAKIに出演し続けることになるのだろうか。
多賀城小学校BRIGHT KIDS(荒吐・・・全国的にはほぼ無名だが、ARABAKI常連の人たちには超有名な、小学生によるビッグバンドジャズ・バンド。こういうバンドが出るところがARABAKIならでは。指導者が代わったとかで昨年は出演がなかったのだが、今年はなんと夕方のかなりいい時間帯での出演。あいにく天候は悪かったけどね。指導者が代わったといっても、演奏はすごくよくて、かっこよかった。ソロをひく子も上手かったし、今年は今年のよさがある。近くの男性グループが「本当に小学生?!すげー、しかも小学生だから、絶対メンバーは毎年変わっていくのに、それでこれだけ上手いのはすごい!」と言っていたのを聞いて、自分のことのように嬉しくなってしまった。気分は父兄(笑)。大のおとなが子供の演奏に合わせて、笑顔でノリノリで踊っているというのは、なかなか素敵な光景です。
Panorama Steel Orchestra津軽・・・ブライト・キッズを最後まで見てしまったので、始まりに間に合わないかと思ったのだが、会場に着いたらまだサウンド・チェックの最中だった。そしてさらにまだまだしばらくサウンド・チェックは続いた(^^;。スティール・パンというのは音の調節が難しい楽器らしいので仕方ないのだろうけど。こういう音楽が、トリとはいえ、日が暮れてからの出番というのは似つかわしくないなと思っていたのだが、そういう理由からだったのかも。その後への影響を考えなくてもいいように。演奏者も寒そうだったなあ。サウンド・チェックのときはダウンジャケットなどそれなりに防寒をしていたメンバーたちも、いざ本番になって再登場したときは、みんなおそろいの赤い半そでTシャツ! ロンTに重ね着の人もいたけど、中には半そでだけの人もいて、観てるだけで寒い!(笑)で、寒いからか、客もバンド側も半分ヤケになって盛り上がっていた。自分の近くにいた人の中には「寒いから前行って踊るしかない!」と言って前の方へ進んでいく人たちがいて、自分もそんな感じで動いていたら、いつの間にか真ん前のかなりいい位置で踊っていた。(^^;いやー、夢中で踊りました。寒かったけど、踊りすぎて体はポカポカに。さらに、アンコールのときに踊っていたら、近くの人に誘われて、周囲の人みんなと一緒に輪になって廻りながら踊った。しかもどんどん人が増えていって。最高でした。最後は、みんなと握手をして別れたけど、そんなこともあって、今回一番印象深いライブだった。
ROVO(花笠)・・・PSOの途中辺りから陸奥での曽我部恵一バンドのライブが始まっていて、津軽からも続々人が移動していっていた。PSOのアンコールが異常に盛り上がったのは、それでもその場に残った人たちだったから、というのもあったかもしれない。で、もちろん、ROVOの時間帯は曽我部のライブと丸かぶり。でも、こちらにもそれなりに客が一杯集まっていて、みんなROVOの音楽で踊っていた。私もなんとかテントの中に滑り込むことができたのだが、テントの中の音響は最高だったね。演奏だけとってみればARABAKI出演者中でも圧倒的だったのではないだろうか。これまた最高でした*1。メインステージで人気のバンドが豪華セッションをしている一方で、ちゃんとROVOを楽しむお客さんがこんなに集まって踊っているという情景がなんだかすごく嬉しかった。当たり前だけど人それぞれの音楽の楽しみ方があって、ARABAKIはそれを可能にしているところが好きだ。アーティストの選び方によっては、かなり違った面を見ることができる。


というわけで、ダラダラと書いた覚書終わり。
最後に食事について。今回は、悪天候にも関わらず意外と見るものが充実していたため、川崎町フードエリアまで行く暇がなくて、この会場に移って以来初めての、川崎町のごはんを食べなかった年だった。本当は岩魚とか食べたかったんだけどねえ。あれは本当においしいから。
なので、すごーくうまい、という食事の覚えはあまりないのだが、一つヒットしたものがあるので、それだけ記載しておく。それは、マンゴービール!
ビールをマンゴージュースで割った(?)カクテルなのだが、ビールの苦みをマンゴージュースが消してマイルドにし、さらにマンゴーのしつこさもビールが薄めているという、ベストマッチな組み合わせ。ビールが薄めの味のバドワイザーだったのもよかったのかもしれない。マンゴージュースのおかげで少しとろみがあって、泡が消えても楽しめる、非常にうまーい飲み物でした。自分で作っても飲めそうだが、マンゴージュースが高そうだ。

*1:「最高」が二つあるのが正しいのかどうかはわからないが