永遠のこどもたち

まず、山形のフォーラムで、スペイン映画「永遠のこどもたち」を観る。
もともとはこの後に書く宮城県美術館が今日のメインイベントだったのだが、タイムテーブルを見たら、丁度私が米沢から山形に着いた十数分後に開始の回があって、しかも今週のみの上映だったので、なら仙台に行く前に観ていこうかなと。予告編を観た限りではなかなかよさそうだったので。
で、この映画、予告編では、ちょっとホラーっぽい要素もありそうだけど、実はファンタジー? なんだか感動できそう、と、観る者を安心させるような作りだったのだが、実際観たらかなり本格的にホラーだった・・・。途中のあるシーン以降はずっと鳥肌が立ちまくりで・・・。いやー、怖かった・・・。
それでもホラー映画嫌いの私がしっかり観ることができたのは、ドラマがしっかりしていること、それに、ハリウッド的映画にありがちな生理的な不快感をあおるような演出があまりなく、さらに、そういう恐怖的シチュエーションを恐れないヒロイン(実際には怖いのかもしれないが、子を思う母の意志の強さがそれに打ち勝っている)の姿に観る者が安心できるから、かもしれない。
この映画を見ていると、死んだ者の世界をどうとらえるかというのは、結局、生きる者の意識のあり様次第なのだと思えてくる。
死というものをただ冷たいものとしてではなく捉えさせるという点では、「おくりびと」と似たところがあるかもしれない。ただし、お年寄りは見ない方がいいかも。ドッキリしてそのままおくられびとになってしまったら大変なので・・・。
ただ、伏線の効いたプロット、ホラーやサスペンス的な基本を踏まえつつ決して下品ではない演出とカメラワーク、ドラマの深さ、哀しさ、怖さ、俳優の演技のうまさ、etc.いろんな点から見て、私はこの作品を傑作だと思うので、普通程度の耐性のある人にはぜひお勧めしたい。監督にとって、これが長編劇映画第一作というのはスゴイ。
あまり書くのもなんだが、古い屋敷、子供とその母親の愛、子供の病気・・・その他いろいろな要素がアザーズに似ている。どちらも好きだが、映画としてはより「永遠の・・・」の方が上手いかな。
惜しむらくは、単館公開で、うちの地元では今週一週間のみの上映ということ。たぶん、全国的にもほとんど知られずに終わっていくんだろう。スペイン映画じゃ仕方ないか。
あと、配給側も期待をしていないからだろうが、パンフレットが適当すぎ。400円と普通より安かったが、それにしてももうちょっとなんとかならんかったのか。特にCritiqueとして載っている和久本みさ子(映画評論家)という人の文章がひどい。評論というより、あらすじをさらに詳しく書いて引き延ばしたような感じ。単館系で、さらに英語圏の映画でないと作品情報があまりないことが多いので、パンフレットは以外と重宝するのだが、今回はちょっとがっかりした。