エリザベス1世(後編)

今日は昨日以上におもしろかった。
亡くなった元愛人レスター伯の義理の息子エセックス伯を新しい愛人とするのだが、女王ははっきりいってもうお婆さんの域に達しているので、若い男に入れあげている様が見ていて非常にきつい。(笑) 若い娘に嫉妬して対抗心バリバリだわ、皺々の顔でのキスシーンとかベッドシーンもどきとか・・・。絵的に、かなりイタタタタタタな描写の連続。しかしその生々しさを避けずに描いているところがいい。
彼女の凄いところは、恋する乙女みたいな振る舞いをする一方で、冷静で決断力と理性ある強い君主であり続けたところで、だからこそ、エセックス伯の度重なる馬鹿な振る舞いに悩まされ続けるわけだ(エセックス伯の馬鹿っぷりもある意味最高でおもしろい(笑))。愚かな臣下には厳格に対処しなければならないと思う一方で、彼のことをどうしようもなく愛しているという、その二つの立場からの思いに揺れ動いて、何度も対応をスイッチングさせている姿が、何とも人間くさくて、かっこわるくてかっこよい。で結局、何度も裏切られては再び信頼し、最後には反乱を起こされ処刑することになっても、その死後にやはり涙を流すと。
歳をとっても女性としての幸せを求め続けたという点ではすごいのかもしれないが、王という立場でそれをすることには無理があったのかもしれない。威厳ある王としての姿にも、恋する女としての姿にも、その哀しさがつきまとっているような気がした。
この複雑な人物を魅力的に演じきったヘレン・ミレンはやはりすごいなあ。
また、衣装が素晴らしいのはこの後編でも同様だったが、今回は印象的な台詞の多さにも感心させられた。もともとの英語の台詞がよいのだろうけど、それを日本語でもちゃんと印象的であるように翻訳した翻訳家もグッジョブ。
ラストの台詞がまた秀逸だった。4時間弱見続けてきてよかったと思える、風格ある終わり方。エミー賞も納得です。