エリザベス1世(前編)

BS2にて放送。
エミー賞を受賞していて、去年BS-hiで放送されたときにも評判がよかったから、BS2に降りてきたら是非見ねばと思っていたのだった。今日はその前編。
イギリスの歴史が頭からかなり消えていたので、Wikipediaで大まかな流れを勉強しつつの鑑賞になってしまったけど(^^;、さすがにおもしろかった。王室のドロドロや統治者の弱さ強さをこんなふうにあっさり描けるというのはやはり文化の差なのかね。映像も、海戦などの派手なシーンは全くなかったり、一部CGを使っていたりと、予算的には大分抑えてあるのだろうけど、それでも演出、照明、演技、衣装等、映画と全く差がないほど本格的。イギリスにおける本格時代劇ということか。日本では、最近TV映画というものをホント見なくなったけれど。
特に感心したのが、衣装の素晴らしさ。エリザベス女王は登場する度に毎回違うドレスを身につけているのだが、これがどれもすごく素敵で作りが凝っていた。彼女の様々な衣装を見ているだけでも楽しい。ヨーロッパのコスチューム・プレイ好きにはたまりません。ドラマで女王が着たドレスを一挙に見られる展覧会があればいいのにと思ったほど。他の役者もみな凝った衣装を着ていたから、こりゃ、予算のかなりの部分が衣装代に消えてるね。IMDbによれば、コスチューム・デザインを手がけた人は、このドラマでエミー賞を受賞しているそうな。さもありなん*1
ヘレン・ミレンはこのドラマと「クイーン」に出演することで、エリザベス1世、2世の両方を演じたことになる。「クイーン」での演技を見てからこのドラマを見ると、その(女王であるという点以外においてあまりに違いの大きい)両者をいかにもそうであった(ある)ような人物として演じている彼女の演技力に感心させられる。
このドラマの中でエリザベス1世は、「クイーン」の2世とは対照的な、ヒステリック気味で独善的な性格の持ち主として描かれているのだが、ドラマを見ると、それも、時代と立場が彼女に要求した「強さ」の代償として仕方なかったのかもしれない、なんて思えてくる。
惜しむらくは、女王の吹き替えが下手なこと。確かにヒステリーっぽい感じはでていたけど、アクセントが不自然で違和感ありあり。倉野 章子って文学座の女優らしいが(で、角野卓造の奥さんらしいが*2)、そう思ってみると、確かに抑揚が舞台っぽい。でも普通にプロの声優でよかったんじゃないかねえ。

*1:そういえば、同時代を描いた映画「恋におちたシェイクスピア」も衣装が素敵だった。あれにはジュディ・デンチ演じるエリザベス女王が出てたけど。そしてあの映画もコスチューム・デザインでオスカーを獲っている。

*2:今気づいたけど、明日の後編でこの人の声の出演が終わると、旦那が声出演するドラマ(モンク)が始まるわけだ