長州ファイブ

幕末、長州の若い武士達が幕府の禁を犯してイギリスに密航し、当地で勉強して後の明治政府の礎となった。そのときの5人「長州ファイブ」井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾傭三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝)を描いた映画。
設定や目の付け所、土台となる話はおもしろいんだけど、映画としては正直言って・・・な出来だった。TVのスペシャル時代劇としてならまあましかな程度。演出に一貫性がないし、脚本もとってつけたような感じがしてなんとも。どちらももう少し練りようがあったのではないか。
ワンエピソード終わる度に暗転してぶつ切りになる映画ってどこの学生の作品なんだと。脚本・監督の五十嵐匠は、調べてみたらこれでも一応「地雷を踏んだらサヨウナラ」などの劇映画を撮っている人みたいだが、これで劇映画撮ってたのか・・・とちょっと唖然としてしまった。
音声もひどい。台詞がまるで風呂場で発されているかのようにくぐもって聞こえるシーンがいくつもあった。今時どんな機材で録音や編集をしたら、こんなひどい音声になるんだ。音楽も、音が安っぽいのが気になった。
役者を揃えるのにお金を使いすぎて資金がなくなっちゃったのかねえ。若い役者らの演技にも危なっかしい点はあるが、その辺は監督の指導や演出でなんとでもなるものだから、監督のやっつけ仕事かという印象だけが強く残った。むしろ、役者達はよくやってたと思う。
話としては、同じくロンドンに留学していた薩摩藩士と遭遇するシーン(本国の歴史との絡みが感じられる)とラスト(話の中で撮影されていた記念写真の本物と、5人のその後が示される。でもこれまた安っぽいんだ。)くらいはまあよかったかな。
エンドクレジットには、山口県、特に萩市の地元企業と思われる名前がずらずらと。つまりこの映画は「郷土の偉人を映画として残さねば」というおらが国の地元映画だったわけだ。ちゃんとした規模と質の作品を作れないなら、そういう映画の公開は地元だけにしとけよ、と、正直思う。