敬愛なるベートーヴェン

映画「敬愛なるベートーヴェン」を観てきた。
ベートーヴェンの晩年3年間に焦点を絞り、彼の交響曲第9番「合唱つき」を完成させるために彼の元に雇われた若い女性写譜師の目を通して描いた作品。
これが今年初映画になったのだけど、すごくよかった。奇をてらったところはあまりないのだが、見終えてとても充実感を感じることができた。そういう映画、今あまりないと思う。これが初映画で本当によかった。
惜しむらくは、(上の文と矛盾しているが)これを年末に観に行かなかったこと。この映画では、第九初演の模様がかなり長くフィーチャーされているのだが、それが映画だとわかっていても素晴らしく感動的だったので、これが年末だったらいやがおうにも気分が盛り上がったのにと思わずにいられなかった。流れに乗る日本人なので。(笑)*1それでも、映画が終わった後しばらくの間は頭の中にずっと歓喜の歌が流れてそれに合わせてマエストロ気分で手振りをしてしまうくらい*2、心揺さぶるシーンだった。
エド・ハリスは意外なくらいベートーヴェンだった。言われないと彼だとわからないくらい。彼が演じた実在の人物、しかも同じく独善的な芸術家というと(ジャクソン・)ポロックを思い浮かべるのだが、あの映画では自身が監督もしているせいか、ポロックの影にどうしてもエド・ハリス自身の意図や姿が見えてそれが鼻についてしかたなかったのだが、この映画ではそれがないせいか、もっと自然に彼は「ベートーヴェン」だった。あとは、髪型のおかげもあるだろうけどね。
ダイアン・クルーガーは実は初めて演技しているところを見たのだが、とても上品な女優で気に入った。


また、この映画は(この手の映画の常として)*3舞台はオーストリア*4なのに英語で話されているのだが*5、ドイツ語なまりの英語などではなく(笑)すごくきれいな英語で、しかもとてもシンプルな会話文で構成されているので、英語学習者としてはリスニングの練習にもいいかもしれない。

*1:そういえば、監修に佐渡裕の名前があった。彼は去年一万人の第九の指揮をしてるね。

*2:自転車に乗りながら。(笑)冷静に見ると危ない人だ。

*3:出資はアメリカとドイツらしい

*4:オーストリー

*5:ちなみに撮影のほとんどはハンガリーでされている