BS世界のドキュメンタリー「脅かされた水の安全」

今回のNHKスペシャルがおもしろかったので、こうしてすぐここに書こうと思ったのだけど、その後に見たBS世界のドキュメンタリーがこれまたとてもおもしろかった。
現在ヨーロッパでは水道事業の民営化が進められているが、その結果どういう事態が起きているかということを、ドイツの数都市や、ヨーロッパの中でいち早く民営化をしたイギリスの事例をふまえて、その是非をリポートしたドイツ制作の番組。これがもう、ガクガクブルブルの内容で・・・。
「公共事業の民営化による効率化アップ」という一見説得力のありそうな言説のもつ危険性を、この二国の事例が教えてくれる。これが日本が常にモデルとしたがる「欧米先進国」の姿だとは俄には信じがたい。が、事実なんだな。
ここで提示される問題は、民営化そのものと、もう一つ、グローバリゼーションである。今ロンドンの水道事業を担っているのはドイツの企業なのだが、彼らは地元の事情を考慮せずに下水処理施設をつぶして土地を売り、そこから得た利益を設備投資として還元せずにドイツの親会社のものにしている。ベルリンでは、フランスの株主に配慮して設備投資を最低限に抑えるなどということが行われている。公共事業に、事業の利用者側とは無縁の他国からの思惑まで絡んでいるのだ。ここに登場する企業の姿勢を見ていると、このままでは日本の地方自治体だって無縁ではいられないかも知れないという怖さを感じる。もちろん、イギリスやドイツで話がここまで進んでいるのは、EU内だからという事情があるにしても。
公共事業の民営化、もしくは官から民へという動きは、日本にとってもとてもタイムリーな話題なのだから、これがNHKスペシャル辺りで放送されたらそれだけで物議を醸す、少なくとも現在の流れに一石を投じることになると思うのだが。つくづく勿体ない、というか、残念だ。>NHK
NHKだって、そういう背景を考えたから、この番組の権利を買ったんだろうと思うんだけどねえ。