ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密

タイタニック」は未だにまともに見たことがないんだが、このドキュメンタリーはとてもおもしろかった。
100年近く前に沈んだタイタニックが、その装飾の跡を残しながら今も海底に静かに眠っているという情景を想像できるだろうか。あるものは浸食され分解され原型を留めなくなりながら、そしてあるものは驚くべきことに過去の装飾もそのままに、そこにあるのだ。
有名な船で、その内部の写真や乗客の詳細もかなりの部分が知れていることから、その事実と照らし合わせながら見ていくと、船の何が変わって何が変わっていないのかがつぶさにわかる。
自然科学的な興味?それとも歴史のもつ重みに対する認識によるのだろうか。とにかく、あの映像には言葉では言い表しがたい感動を覚えた。とくに、朽ちかけながらも当時の人々の最後の生活が伺える映像にはゾワゾワときた。
そして、今もあれはあそこにあって、静かに朽ちかけ続けているのだ。
ドキュメンタリーの終わり近くでカメラマシンにトラブルが起こったせいで、途中から何のドキュメンタリーかわからなくなってしまったのには苦笑したが、最後の最後に、この撮影が2001年9月11日近くに始められていた、そして撮影中にその日を迎えてしまったという大オチにびっくり。確かに、突然やってきた悲劇と終わりという点でこの2つの事件には共通点がある。関係者のショックは大きかったろう。
そんな、予測のできない状況をもそのまま撮ってしまえるところがドキュメンタリーのおもしろさでもある。この事件のせいで最後に印象を大きく変えたまま、映画は終わったのだった。