コープス・ブライド

映画「コープス・ブライド」を観てきた。
チャーリーとチョコレート工場」に続く(観てないけど)ティム・バートン×ジョニー・デップの映画。収録は同時だったらしいけどね。
成金の家の息子と没落貴族の家の娘が政略結婚することに。気弱でドジな息子ビクターは、森の中で結婚式の練習をしているうちに誤って死体の指に指輪をはめたまま結婚の誓いをしてしまい、死体と結婚することになってしまう・・・。という、元はロシアの民話からとった話だそうだ。
うかつに指輪をかけてしまったことで人でないものと結婚してしまう、というのはよくある話のパターンなんだろうか。子どもの頃読んだ本に、花婿が少しの間ビーナス像の指に指輪をかけたら、そのビーナス像が夜に彼を迎えにやってくるという話があったなあ。あれは完全なホラーだったけど。
映画の物語は、なかなかよくできている。
ビクターは本当の花嫁と死体の花嫁の2人といわば三角関係のようになって、しかもどちらとも(あきらめが入りつつも)結構まんざらじゃない様子。だから、この2人と結局どうなるんだ?という最終的な着地点は、観ている間もなかなかわからない。それが、最後にはうまく話が収まって、しかもこれが結構感動的なのだ。
コープスブライドが出てくるときのホラーチックな演出や、全体的なミュージカル演出も楽しい。それにもちろん、これぞティム・バートン、な、かわいくてどこかグロテスクな造形も最高。
1時間17分と中途半端な長さだけど、「お話」を楽しんで余裕を感じるにはこのくらいがちょうどいいし、その分脚本に無駄がない。豪華な声優陣のわりには意外に地味だけど、よくできた小品だと思う。私は大好きだ。ティム・バートンにはずっと、これくらいの作品を趣味でつくっていってほしいね。
ただ、これは一応パペットを使ったストップモーション・アニメなんだが、そうは見えないくらい動きも造形も「きれい」なのが気になった。たぶんかなりVFXを使っているからなんだろうが、ここまできれいだとCGアニメを見るのと大差ない感じがしてしまう。できればもう少しアナログ感を残して欲しかったな。
あと細かいことだけど、何度か出てきたピアノを弾くシーンで、押してる鍵盤と出ている音が違っていてこれも気になって仕方なかったので、できればこういうところにもこだわって欲しかったなあ。


映画の内容とは関係ないけど、日本版公式サイトの「10月22日 冥土 in Love」という表現に脱力。