蝉しぐれ

蝉しぐれ」を観てきた。
今ごろ、と思っていたけど、映画館では一番大きな上映室をわり当てられ(といっても入れ替え制だからフレキシブルなんだけど)、結構客が入っていた(中年・壮年率が高かったけど(^^;)。さすが地元(本当の地元、庄内の三川イオンシネマでは未だに1位爆走中らしい)。
で、映画についてだが、何を語りたいのかポイントが絞り切れていないままつくった感じ。そのために全体を通して平坦な構成になってしまっている。二時間弱の映画なんだから、もっと切るべきところは切った方がいい。
監督・脚本の黒土三男NHKのドラマの脚本も手がけている。
私はドラマの方もちらっと観ているのだが、ドラマと今回の映画とでは話の作りは全く逆になっていた。ドラマでは事件の数年後の再会から物語が始まり、基本的に回想によって話が語られる。少年時代の父親の事件についてもそれほど長い時間は割かれていない。しかし映画では、時系列に沿って物語が進行し、再会がラストシーン。少年時代についてもかなり長い時間を割いている。
映画の前半の時点では、こういう構成にした方がよりわかりやすくていいのかもしれない。監督も、ドラマではできなかった描き方をしたかったんだろう。と思ったのだが、後半になっても全く同じ調子で話が進行するのには参った。きめとなる盛り上がりがなくて、まるでテレビドラマを観ているよう。脚本家が監督をすると、思い入れが強すぎて必要な編集ができなくなってしまうんだろうか。
私は山田洋次の演出が大っ嫌いだし、「たそがれ」も観ていてイライラする、というようなことは以前ここでも書いたが*1、映画か否かということに関して言えば、山田作品の方が映画だったと思う。大っ嫌いだけど。←しつこい
でもまあ、美しい話ではある。ダラダラしてるけど、景色はきれいだし、そんな嫌な作品ではない。
ところで、富樫森監督作「ごめん」の主演の男の子、久野雅弘が、主人公の友人・逸平の少年時代役で出演していた(成長するとふかわりょうになる(笑))。「ごめん」は大好きな映画なんだけど、あの主演の子がこんなふうにちゃんと成長してるんだなあなんて思ったらちょっとうれしくなってしまった。これからもいろんな作品に出演していい役者になれよー。

*1:懲りずにまた藤沢周平作品を監督するらしいが。しかも今度はキムタク主演。どうなることやら・・・。地元で客は入るし全国的に話題になるから、地元の映画館と観光協会的にはウハウハなんだろうけど。