イノセント (シンガポール/2004/ルー・リーシャン、ホー・ジュンション)

仕事として預かって子守をしていた子供を怪我させてしまったことで、虐待を疑われ(警察にも連行され)、それを苦に自殺した女性。
映画ではその家族や親族にインタビューすることで、自殺の背景を明らかにしようとする。
が、この監督は自殺した女性の甥で、相手が親族だからだろうか。内容的に踏み込みが足らない。ただ向こうの話を一方的に聞いて撮っているだけでは、だから何?という感じ。ただ、子供たちが母親の死亡した状況を詳しく話す様を見て、この子達が後々PTSDになりはしないかとちと心配にはなったが。
映画そのものの内容よりも、むしろ質疑応答時に明らかになってきたシンガポールの閉鎖性の話が興味深かった。
監督曰く、シンガポールでは長い間一つの政府が政権を握っているため、できるだけお上には逆らわず、事を荒立てないようにするという閉鎖的な空気が支配的なのだという。
今回のことで警察にもインタビューしようとしたが断られ、それではと監督が警察署の外から建物の映像を撮っていたらそれだけで逮捕されたそうな。
今回の映画で伝えたかったこともそうした閉鎖性についてだったようだが、映画だけ観ても伝わらないんじゃやっぱり失敗だろうね。


ところで今回、英語でしゃべらナイトで取り上げられていたシンガポールの英語「シングリッシュ」を初めてまともに聞いたのだが(話していたのは、この事件の当事者たちである中国系の家族たち)、本当にわかんないね、あれは。