仙台短篇映画祭 その2

昨日に引き続き、ショートピース!05。
今日最初に見たのは「アニメ・あ・ら・か・る・と」。様々なタイプのアニメーションがあるよってことを見せることを意図したプログラム。
上映作品は以下。上映順がプログラムと違ってたので記憶に拠って書いているけど、間違ってるかも。()内は製作年、国籍、監督名
・TOKYO (1999、日本、村田朋泰
・ストリップ (1977、イタリア、ブルーノ・ボツェット)
・缶入りの人生 (1967、イタリア、ブルーノ・ボツェット)
・牧笛 (1963、中国、盛特偉 脚本・演出)←監督のクレジットがない
・夜の蝶 (1998、ベルギー、ラウル・セルヴェ
・GOLDFRAME (1969、ベルギー、ラウル・セルヴェ
・クジラの跳躍 (1998、日本、たむらしげる


2本目の「ストリップ」は実写のストリップ嬢とアニメの観客の合成作品なんだけど、ストリップの過程がそのまま描かれていて胸どころか下まで普通にモロ出し(一瞬だけど)*1なので、アニメだからと子供を連れて見に来ていたお母さん方(何組か見かけた)はかなりあせったんじゃないだろうか。「夜の蝶」も、アニメだけど、キャラクターの女性二人はなぜか胸だけモロ出しのドレスを着ているという倒錯的なイメージの作品だし。
短篇映画祭にはP-18とか12とかないからなあ。以前、この映画祭でフランソワ・オゾンの短編数編をまとめて見たことがあるのだが、服着てる人がほとんど出てこなかった。(笑)(全く出てこないのもあり) それでも、P-18とかそういうものはついてなかったと思う。確かこのときはボカシのオンパレードだったけど。


ラインナップだが、同じ監督作のDVD上映もあることから、集めやすいものを集めた感は否めない。
いずれも未見だったので見てよかったとは思うけど。
この中では、「缶入りの人生」と「GOLDFRAME」が特に好きだ。ちょっとブラックで、表現方法もおもしろい。「缶入り」は物語とアニメーションの「はしょり方」がいい。洒落ている。「GOLDFRAME」はドローイング風の絵の動きのおもしろさと、簡潔な語り口に惹かれた。
でもまあ、たいくつだった「クジラ」以外はどれも楽しめた。


次に見たプログラムは「Shortpiece! meets Sports」。スポーツ関係を集めました、というプログラム。
上映作品は以下。
・HOW TO Jiu-jitsu (1998、日本、ホンマタカシ
・もうひとつの戦い (2003、フランス、Emmanual Ortner)
・Squash (2002、フランス、Lionel Bailliu)
・走るぜ (1993、日本、古厩智之


アニメを除けば今年唯一の外国作品がかかるプログラムということで、選んでみた。映画祭第一回目の時に外国作品を見て短篇映画のおもしろさに惹かれたということがあるから、やはり外国作品ははずしたくない。
日本でこういう場で上映される短篇というとどうしても、アマチュアから抜け出せない安っぽさ(それゆえのおもしろさもあるけれど)があるんだが、向こうのは短篇でも力の入り方と金のかけ方(つまりは完成度)が違うんだよね。短篇が長篇への登竜門であるという事情は内外変わらないのだろうが、その境界線となるレベルが違う。
今後もこういう場で短篇のクオリティの高さを示してファンを増やすためにも、外国作品は上映していってほしいものだ。まあ、映画祭を始めた当初は自前のフィルムがなかったから、シネフィルイマジカの協力で作品を提供してもらっていたという事情があったのだろうけど。
それと、これを選んだ理由のもう一つは、「まぶだち」「ロボコン」の古厩監督の作品が見られるから。


「HOW TO」は監督が写真家のホンマタカシ、出演がモデルのマイコと市川実日子(当時はまだモデルだけだけよね?)、音楽監修がHeadzの佐々木敦ということから推測できる通りのオシャレフィルム。それ以上でも以下でもなし。
「もうひとつの戦い」は、ボクシングでチャンピオンを目指す少年には怪我でボクサーを引退してから堕落してしまった父親がいて・・・という話。悪くはなかったが、冷たさと厳しさをもう少しフィルムのタッチに残せていたらと思った。
「Squash」はおもしろかった。上司と部下がスカッシュをするというそれだけなんだが、最初は上司からしかけて後には部下がやり返す(かなり卑怯な)心理戦によって、ゲームの後半にいくに従って二人が心身共にボロボロになっていくのが見物。二人の動揺などの心理状態がきちっとフィルムに映ってるのがいい。うまい。
「走るぜ」は映画学校の卒業制作か何かなのかな*2。最初に「卒業制作」という文字がでっかく出てきた。
不良少年にカバンを盗まれた女子高生やその友達が彼を追いかけて走る・・・というのがストーリーの骨子。だけど、見ているとどうもカバンを取り返すことは彼らにとってそれほど重要な事じゃなさそうなんだな。寄り道もするし、全然必死そうじゃない。(笑) でも走るときはひたすら走る。
映像も演技もいかにもアマチュアなんだけど、なんかよかったわ。「ああ、高校生って走りたいんだなあ。青春だなあ(ニヤニヤ)」なんてことを思いつつ見てしまった。それに、高校生達がじゃれあってる姿に、確かに「ロボコン」などに繋がる青春群像が確認できた気がする。
このプログラムが終わって上映室の外に出ると、次の塚本特集に並ぶ行列ができていた。こっちは結構空いてたのに。まあ、普通に考えれば当たり前だよな。

*1:ボカシなし。その方が健全的ですね。

*2:と思って監督のプロフィールを調べてみたら、日芸出身なのね。で、PFFのGPで出てきたと。