タッチ

「タッチ」を観てきた。
これが実写で映画化されると知ったときは(しかも達也・和也を斉藤祥太・慶太(どっちがどっちかわからないので順番は気にしないように)が演じると知って)かなり色物の匂いを感じていたのだけど、いや、なかなかどうして。後味爽やか。全くもって真っ当な青春野球映画だった。
話は(知っている人にとっては)知っているとおりなので特に意外性はないのだけれど、過不足ない語り口で、素直に物語に入って観ることができた。私はアニメを見たのも大分昔で「ああそういえばこんなだっけ」なんて、見ながら設定や話を確認していった口だからこんな薄味な感想になってしまうけれど、たぶん原作やアニメをもっとよく覚えているファンならもっと楽しめるんだろう。それか、全く知らないか。全く知らない人は、まっさらな状態でこの話を楽しめるわけだよ。うらやましいなあ。
このマンガなストーリーにリアリティの外枠を与えているのが野球なわけだが、この映画ではその「高校野球」の雰囲気をしっかり出しているのがいい。応援団とか実況とか。
相手チームの強打者がバッターボックスに入るとブラバンがそれっぽいかっこいい曲を流すので、あ、これがこの人のテーマソングなのかとわかったり。実況もいかにも試合を本当に実況しているかのようなプロの仕事をしている。高校野球を見たことのある人にとってはこういう細かいところがちゃんとしてるのがうれしい。これなら単に野球が好きという人でも楽しめるんじゃないだろうか。
長澤まさみはすくすくとかわいく育ったなあ。それに最近、きれいになってきた。このまま正統派美人になれるかもね。「ロボコン」のころは彼女の魅力がよくわからなかった(だからあの映画が彼女のアイドル映画になっている点が納得がいかなかった)が、この映画では彼女なりの朝倉南を演じていて、それがすごく輝いている。
斉藤兄弟も、演技が上手いというわけではないが、やっぱり彼らなりの和也、達也を演じていて違和感がなかった。結果的にはこのキャスティングは大成功といっていいと思う。
ところで、映画館にはたくさんの高校生らしき若い子たちが観に来ていた。でも上にも書いたとおり、タッチってアニメで放送したのも随分前のことだよね。原作だって今の若い子にそれほど読まれているようには思えないのだが。ということは、もしかすると今の高校生たちはストーリーを知らないんじゃなかろうか。映画は主役の3人目当てなのかな。全く知らない状態でこの映画を観たのだとしたら、どんな感想をもったのかとても興味のあるところだ。