コーラス

「コーラス」を観てきた。
悪ガキばかりの学校に一人の教師がやってきて(歌を通して)更正させる、という、おきまりのパターンの作品だ。まあ悪い映画ではないと思う。メインなのであろう歌もいいし。あのメロディーは本当にきれい。少年の声だけでも感動するね。それに、戦後のフランス、寄宿舎(問題児ばかりのだけど)なんていう材料(雰囲気)も揃っている。
ただ、話は薄い。
まず、おきまりのパターンと言ったが、それにしても展開に新鮮さが全く感じられない。教師がある生徒のシングルマザーの母親に片思いしたけど結局は・・・というエピソードの演出も、あまりにも手垢の付いたもので、安っぽさを感じた。
また、この手のストーリー(「天使にラブソングを」系というか)としては致命的なのが、生徒達がうまくなる(そのように指導をする)過程を描いていないこと。「うまくなった」とナレーションのあるバックに、きれいになっていく彼らの歌声が流れるだけだから、この生徒達が成長したんだという実感があまりわいてこない。だからなんとなく話が進んでしまっている。
それに、人物描写も浅い。例えば、校長が途中で少し変わった(優しくなった)ような描写があったが、ラストではまた全くの悪人として扱われている。それがなぜなのかということについてフォローがなければ、話の展開上都合のいい存在として描かれているようにしか思えない。
ラストもなんだかなあ。あれもやはり、あの展開なら描写不足だろう。
雰囲気と歌はいいんだけどね。