エターナル・サンシャイン

Eternal Sunchine of the Spotless Min

エターナル・サンシャイン」を観てきた。
すごく好きなタイプの映画。今年劇場で観た中では、今のところベスト1かも。
記憶の中を逃げ回る映像が、すごく奇妙でおもしろくて。でも見ているうちに切なさで胸がいっぱいになってくる。今の時代、この手の特殊効果は別に珍しいものではないが、ただ「おもしろい」だけではなくてこんなふうに感情を揺さぶるまでになっていた作品は自分にとっては初めてかもしれない。
それに、あれだけごちゃごちゃした映像なのにストーリーがすんなりと頭に入ってくるのは、場面展開や人物の移動などを計算し尽くした結果だろう。その構成と演出の上手さにも脱帽。
ラスト間際のキルスティン・ダンストが起こす一件については、「うまく収まろうとしているのに意地悪な展開だなあ」なんて思いながら観ていたのだけど、最後の最後になって、なるほどこれでよかったのだと思うことが出来た。この二人にはまたいつか、仲がこじれるときがくるだろう。けど、一度終わりを知っている二人ならきっと大丈夫。そう思わせる幸せなラストだったと思う。
この映画のストーリーの根底には、「一度別れて記憶すらなくしても、次に出会ったらまた同じようにお互いを好きになる」という、わりと古典的でロマンチックな恋愛観があるんだが、ラストまで通じるそういうロマンチックなところも私は好きだ。
ジム・キャリーケイト・ウィンスレットも魅力的で、いい演技をしている。特にジム・キャリーは、いつもあれだけアクの強い役をやっているのに、ここでは平凡で物静かな男を好演していて驚いた。賞を獲ればいいってものではないけど、未だに彼をノミネートすらしないアカデミーはちょっと酷いんじゃないのかね。今年なら、(彼にしては平凡だった)ジョニー・デップの替わりに彼が入っていてもおかしくなかったと思う。