マシニスト

The MACHINIST

マシニスト」を観てきた。
工場で働くトレバーはこの一年不眠症で悩んでいる。あるとき彼の前に謎の男が現れ、それからおかしなことや不幸が彼の身の回りで起こり始める・・・、というホラーサスペンス。
観ているうちに、トレバーは精神を錯乱しているっぽいことが見て取れてくる。しかし今スクリーンに映っているのは彼の妄想なのか、それとも現実に起きていることなのか。もし妄想だとしたら、それは不眠症からくるものなのか、それとも他に何か理由があるのか。それについて、見ている側からは客観的な判断が難しい。
監督はトレバーの視点で話を進めつつも、彼が触れない謎や思わせぶりな別の視点を巧妙に映像に入れることで、サスペンスとしての体裁を保ち、緊迫した雰囲気を持続させている。
映画のビジュアルも重要だ。ともすれば退屈になりそうな話なのだが、青白く冷たさを感じさせる色彩やセンスのいい構図が、見る者を飽きさせない。それともう一つのポイントは、クリスチャン・ベールの痩せた姿。映画の中でも「それ以上痩せたら死ぬわよ」と言われている彼の姿は本当にびっくりするぐらい痩せているのだ。自分から進んであそこまで痩せた人の姿を私は初めて見た*1。その病的なまでに痩せた姿が、映画に説得力と、それに加えて病的な何かを与えている。
しかしあそこまで痩せるとその後のお肌によくないよなあ。あの若さで目尻にあんな皺ができている人なんて初めて見たもの。映画に関係なく、彼の身体のことを心配してしまった。
と、ちょっと書いてみたけど、正直言ってこのネタだったらショートフィルムの方がよかったんじゃないかという気もする。ショートフィルムだったら、もう少ししまりのある傑作になったかもしれない。

*1:「モンスター」のシャーリーズ・セロンの逆バージョンだな