海を飛ぶ夢

The Sea Inside

海を飛ぶ夢」を観てきた。
期待していたんだが、ちょっといまいちだった。
尊厳死の話なので観ながら考えてしまうことは確かなんだが、これを観たことで意識を変えさせられるような何かがなかったのが物足りない。演技はいいんだけど、登場人物の役割に意外性がないんだよな。
それに話の最後がね。この物語に登場する女性ロサは、障害者のラモンなら自分を受け入れてくれるだろうと勝手に思いこんでいる痛くて弱い女性として描かれているのだが、ラモンは彼女の気持ちをいわば利用して、(別の女性フリアのことを愛しているのに)彼女との結婚を条件に彼女を協力者にしたわけだ。自分一人で何もできないからといって何をやってもいいのかと、自分はそこで一気に冷めてしまった。その後のシーンが感動的に演出されていても、なんだか白々しくて。
この物語でわざわざそういう展開にする必要があったんだろうか。どうも納得がいかない。まあ、実話の映画化らしいので、納得がいくかいかないかなんて関係ないのかもしれないけど。これ、監督のオリジナルだとしたら、ちょっと意地が悪いな。
あと、映像の見せ方もそんなにいいとは思えなかった。海の描写はしつこいし。
あれはビデオ撮りだろうか、映像が汚いのも気になった。景色の美しさというのがこの物語の一つのキモなのに、あんな汚い映像ではだいなしだ。なんでフィルムにしなかったんだろう(と、ビデオ撮影であるという前提で言ってるけど)。


ところで、劇中とエンドロールでケルト音楽が使われていたのが印象だった。そういえばスペインのガリシア地方はケルト音楽圏なんだよな、カルロス・ヌニェスとかさ。・・・なぁんて思いつつ観ていたんだが、あとで検索してみたら、サントラに参加してガイタ(ガリシアバグパイプ)を吹いていたのはヌニェスその人だった。あ〜、やっぱり。
8月に来日してライブで宮城に来るのか。しかも大島保克も!うわ、見たい。