MEMORIES

おもしろい!
以前に「彼女の想いではおもしろいけど・・・」みたいな意見を見かけたことがあって、そのせいであまり期待していなかったのだけど、いやあなかなか。
もちろん短編SF小説のような趣がある彼女の想いではよかった。話もいいけど、なめらかなアニメーションや演出がうまい。監督森本晃司・脚本今敏なんて豪華な組み合わせ。
だけど、「最臭兵器」も好きだ。あまりにも日常な風景から過剰な非日常へという演出はこういう話の基本だろう。その馬鹿馬鹿しさとケレン味がすごくいい。ラストまではずさないベタさと笑いに満足。
そして「大砲の街」。実はこれが一番すごいんじゃないだろうか。統一感のあるメルヘンチックなアニメーションと音楽で、あの世界観。読んだことのない本のことを書くのは恥ずかしいけれど(^^;(一応読みたいとは思っている)、最近よくレビューで見かける「となり町戦争」のことをちょっと思い浮かべた。あらすじを読む限りではあれも似たような世界観のように思えるんだが、どうだろう。ちょうど今日、今の社会の閉塞感とからめてこの本やその他数冊の本を評している記事を読んだんだが、この映画も公開当時より今の方がおもしろく見られそうな気がする。
正直言って、前2作だけなら、「ああSFのオムニバスね。おもしろいけど映画の重量感という点では中途半端かな」という感想で終わっていただろう。しかし最後にこれがあるから、映画としてしまりのある編成になっている。
この作品、監督・原作・脚本・キャラ原案・美術、全て大友克洋スチームボーイの原点になった作品だそうだが*1、それでなんでスチームボーイはああなっちゃったんだろう。
大友は大作にそんなに気合入れなくていいから(笑)、またこういう作品をつくってくれないかな。

*1:実際、スチームボーイは構想9年だから、この直後には話は始まってるんだよな