ハウルの動く城

ハウルの動く城」を観てきた。
んー・・・・。とりあえず、こういう少女漫画風おとぎ話をつくってくるとは思わなかったな。
キムタクのハウルはかっこよくていい。口が上手く廻ってないところもあったけど、それほど気にならず。何より、ちゃんと色男の(というか、まさに少女漫画の王子様的)風格があるのがいい。こんなこと書くのも悔しい(?)けど、アニメではまだキムタクのキムタクたる部分が存分に発揮されている*1
倍賞千恵子が演じるソフィーの声も、事前に「若いソフィーの声はありえない!」という評判をさんざん目にしていたせいか、そんなに気にするほどではないように感じた。あの声のせいで、若い女性からおばあさんの姿になったときの驚きが全くないのがもったいない気はしたが、ラストでの彼女の姿が中途半端だからそれにあわせたのだろう。
この二人のキャラは結構いいんだよ。あの舞台で彼らの物語が進んでいくのを見るのは好きだし、それはそれでおもしろいと思う。ただ、そこだけに重点が置かれるとバランスを欠いてしまう。この作品では、物語の外縁となる部分が明らかに描写不足。だから観る側が物語にちゃんと入っていけず、おいてけぼりになってしまう。その上ラストが妙にほのぼのと終わってしまったために、なんだか盛り上がれなくて肩すかしをくらった感じ。
というのが観終わった時に感じた正直な気持ち。
この世界観は好きなのだ。それなりの描写があればすごく愛せる世界だと思う。だから、描写を増やすところ、削るところをもうちょっとなんとかすれば物語がもう少しおもしろくなったはずなのに。惜しい。(って、以前にも別の作品で似たような感想をもった覚えがあるな。それはスチームボーイ・・・。これとは全然違う映画だったけど)
それと、この作品では戦争という言葉が言葉以上の意味をもたない記号のように使われていたのがとても意外だった。これまで、それが背景であれ本題であれ、対立や戦いというものについては明確に描いてきた宮崎駿の映画なのに。戦争をしている国や戦争の内容についてはほとんどどうでもいいらしい。必要とされているのは「戦争」というものが起こっているという状況だけみたいだ。
そう、その辺の細部の描写がぞんざいなのが気になるところなんだよなあ。登場させた事象についてのフォローがないというか。
あ、当たり前みたいだけど、美術は本当にいいです。山の風景など写真と見まごうくらいきれい。それに小物などの色彩の豊かさ。昨今、予算を多くかけたアニメは数あれど、あの色の感覚であれだけ細かい描き込みがされているのは宮崎アニメだけだろう。今回は音もよかった。これらは特筆すべき点だと思う。


ところで、上映中に、なんとどこかの席で携帯を押している音がした。しかもメールかと思ったら話し始めたので本当に驚いてしまった。幸い声は小さかったが、気になって気になって。離れていたので無理だったけど、近くの席だったら頭をはたいてやりたかった。他にも上映中に目の前を普通に歩いて横切る人もいた(普通はスクリーンにかぶらないように前傾姿勢で進むだろう)し(たぶんどちらも女子高生)、これだから人気映画を観に来るのは気が引けるんだよ。常識的なマナーすらできてない人間が観に来る可能性が高いんだもの。

*1:つまり鈴木Pは正しかったということか