堕天使のパスポート

Dirty Pretty Things

堕天使のパスポート」を観てきた。
ロンドンが舞台で、昼間はタクシー運転手、夜はホテルのフロントとして働くナイジェリア人の不法入国者が主人公*1。彼が、勤務しているホテルのトイレに人間の心臓が捨てられているのを見つけたことをきっかけに、ホテルを舞台にした臓器売買を知る、という話。事件の背景には、ロンドンにきても社会の下層部で暮らさねばならない不法入国者や難民と、彼らを食い物にする人々の存在があった。ホテルのメイドで主人公に好意をもっているトルコ人難民の女性も、これに巻き込まれていく。彼女を演じているのがオドレイ・トトゥ
映画は、臓器売買、トルコ人女性の移民局職員からの逃亡、そして主人公とトルコ女性の関係という複数の話が並行して展開していく。
始めはロンドンの下層部を描いた地味な社会派ドラマかと思いきや(そうには違いないんだけど)、意外にサスペンス風味の濃い作品で、そういう意外性も含めてまあまあおもしろかった。でも、ちょっと物足りない。どうせこういう展開でいくならもう少しハラハラするようなエンターテインメント性の強い演出にしてもよかったんじゃないかと思うし、人物の背景の描き方も少し薄い気がする。人間関係ももうちょっとうまい見せ方があったんじゃないか。いろんな面で少し中途半端。
それにそもそも、心臓をホテルのトイレに捨てるなんて不用意なことをするもんかね。もしそれに気づいた善良な客が警察に直接通報していたら、やばくなるのは当のホテルなんだし。って、それを言ったらこの映画自体が成立しないかもしれないけど。

*1:チラシではオドレイ・トトゥの方が主演であるかのような書き方をされているが、明らかに主演は彼