さらば冬のかもめ

BS2にて。海軍の将校二人が、窃盗でつかまった水兵を刑務所に護送する任務を命ぜられるのだが、不当に重い刑を気の毒に思って途中で彼の実家に連れていったり、(未成年なんだけど)ビールを飲ませたり、偶然出会った人のパーティーに誘われて行ったり、売春宿に連れていったり、バーベキューしたり・・・する話。護送する者と囚人という関係が、しだいに、親心を持った上司と部下、あるいは少し年の離れた友人のように見えてくる。
あらすじを読んだときはちょっと暗くて難しそうなイメージを持っていたんだが(というか、アメリカン・ニューシネマというものになんとなくそんな印象を持っている)、おもしろくていい映画だった。
ジャック・ニコルソンが水兵に同情してなんとかしてやりたいと思うのだけど、結局のところ厳しい現実に対してはどうすることもできないということがわかっているのが切ない。そういう話だから、ユーモアがありつつもどこか醒めた視線が感じられる作品になっているんだろう。ラストの将校二人の会話のシーンも、その醒めた空気をよく表していて秀逸だった。
邦題がなぜこれなのかが謎なのだが(原題は"THE LAST DETAIL")。まあ、季節は確かに冬だし、一応別れの話ではあるし、水兵といったらかもめかなあって感じはするけど(苦しまぎれの連想ゲームの答えみたい)。