CASSHERN

CASSHERN

CASSHERN」をやっと観てきた。賛否両論(いや、否の方が多いのかな)のある作品ということで観る前はかなり用心していたんだが*1、いやいや、なかなか。あのヴィジュアルといい世界観といい、ゴス風味のファッションといい、自分にとってはかなり好きな世界だった。
前半だけだったらカルトな名作になっていたかもしれない。私は新造人間が出る辺りまでの映像でならご飯3杯はいけるね。映像からも編集からも監督のオタクな性質が伝わってきて、ニヤニヤしながら観てしまった。
といっても、全体的に見た場合、映画としてはダメダメだと思うのだが。特にストーリー構成がアレなんでね。
言いたいことはわかる。けど、それが映像にうまく転化できていない。特にラストは混乱の極みといった感じだ。キャラクターの位置・移動に明らかにおかしい部分があるところからすると、編集自体も混乱していたんじゃないだろうか。ここがもっとスッキリしていたら、と思わずにいられない。
それ以外では、音楽の使い方がとても気になった。PV監督出身だから映像に音楽がついていないと不安なのだろうか。ほとんどのシーンで絶えず音楽が鳴り響いているので、観ていて疲れる疲れる。まさにPV的。
それに、キャラクターが台詞なしで動いているバックに大仰な音楽が大音量でかかる、というのは普通クライマックス前の編集だろう。それがこの映画では何度も出てくる。普通の映画の構成が「起承転結」なら、この映画のは、印象としては「起承転結転結転結・・・大きな転(終わり)」といった感じ。そういう盛り上げ方で惹きつける前に、もっと静かにドラマをじっくりと見せてほしかった。もし音楽を今の3分の1に減らしていたらずっとましになっていたと思う。
よかったと言ったわりに批判が多くなってしまったが(笑)、脚本や音楽なんてこれからどうにでもなるから。この監督には目を惹きつける映像をつくる力があるから、たぶんまだいけると期待している。ヴィジュアル至上主義な作りも私は支持しているので、このまま突き進んでいってほしい。


将軍の息子の側近役(白スーツの男)を(元フライングキッズの)浜崎貴司がやっていたのがおもしろかった。確かに彼の怪しげな顔はああいう場に合っているかもしれん。確かキリヤンの友達なんだっけ。第七管区で出てきてすぐ殺される役としてGLAYのメンバーが二人出ていたが、あれは何の意味があったのか不明。何かの企画だったのだろうか。


そうそう。本編前の予告でハウルの新しい予告を初めて見た。以前のもっと短いバージョンでは終末感漂う映像だったが、今度のはずいぶんほのぼのとした感じに編集されていてちょっと拍子抜け。まあ、いつもの宮崎節ではあったが。
ほのぼの路線にシフトしたのはそっちの方が一般にうけると判断したからだろうか。でも以前の予告を見てドキドキしていた身としては、期待が裏切られないようにと祈らずにいられない。

*1:何を用心するというのか自分でもよくわからないが