映画

今TVで「たそがれ清兵衛」を見ているんだが、一度映画館で見たときも思ったことだけど、やはり山田洋次の映画はだめだ。役者も話も悪くないのに、どこかもさっとした印象を残してしまうのは、演出のせいだろう。吉行和子のナレーション(それにラストも)は全くもって蛇足だな。話はシンプルなのに、こういういらない演出が全体にわたってベタっと貼り付いている。ばか正直で説明過多というべきか。だからこそ大衆にうける映画監督でいられうるのだろうが。


この映画が公開になったとき、「映画にうるさいですよ」みたいな顔をした文化人がこぞって「今までの山田洋次は苦手だったけど、この映画はいい」というようなことを言っていたのだが、これどうみても山田洋次の映画以外の何物でもないじゃん。あのとき皆が褒めちぎって、また興収も大きくなったせいで、『たそがれ』は誉めなきゃいけないような空気ができてしまった気がする。それが公開当時は気にくわなかった。


何を間違ったか、アカデミーの外国語映画賞にノミネートされてしまって、これでまた名作だなんだという評判がさらに高くなったらうざいぜ。


「隠し剣、鬼の爪」も、キャストからすると楽しみではあるんだが、きっと今まで通りの山田節になるんだろう。期待しないでおくことにしよう。


来週は「耳をすませば」か。これ好きなんだけど(笑)、宮崎駿プロデュースということだけを強調されることにはちょっと違和感がある。もちろんそうしないとうけがよくないからだろうことはわかるのだが、近藤喜文監督の名前が画面にでるだけで声に出して読まれないのはちょっとさびしい。この人はスタジオジブリの中でも貴重な人材だったのに。しかももう亡くなられているんだよなぁ。金曜ロードショーのタイトル・アニメーションもこの人の作なんだから、日テレは近藤氏にもっとリスペクトを表しても悪くないだろう。


映画、といえば、今週スティーヴン・ソダーバーグの「フル・フロンタル」を観に行き損ねてしまった。スケジュールがひどいのだ。地元の映画館では、公開は今週一週間のみで、しかも午前10時台と午後8時台の2回のみ。これじゃ、ほとんどの人には観に来ないで下さいと言ってるようなものだ。ソダーバーグってちっとは人気のある監督だと思っていたんだが、それに有名俳優も多くでているのに、この扱いの小ささは何。うちの地元では、一つの映画館(系列にシネコンももってはいるが)がミニシアター系を一手に引き受けているので、特に大作目白押しの現在はスケジュールがギリギリになるのはしかたないことだとわかってはいるのだが、映画ファンとしてはなんとかならんものかと思ってしまう。


さて、明日からは「イノセンス」だ。宣伝やたらしてるみたいだけど採算は大丈夫なんだろうか。アニメ好きとしては、余計なことながら、がらんとした上映室を想像してちょっと不安になってしまう。不入り打ち切りなんてならないで〜。(願)観に行くのは楽しみだけど。