伊達な優品勢ぞろい

仙台市博物館では、企画展「伊達な優品勢ぞろい −仙台市博物館の20年−」を鑑賞。これは、開館45周年、新館ができてから20年を迎える同館が(特に新館が出来てからの20年で)集めてきた、郷土宮城の伊達家に関係する資料・収蔵品などの自慢の「優品」を見せちゃいましょう、という企画。
自らのコレクションをちょっと目先を変えて見せているだけの、常設展の料金で入れる小さな企画展なのだけど、おもしろかったねえ。
昨年の「大江戸動物図館」を観て以来、私はちょっと仙台市博物館びいきになっているのだが、今回も、ここの学芸員は(一地方自治体の博物館としては)がんばってるなあという印象を受けた。企画として筋が通っているし、興味を持って観てもらおうという心配りが分類や説明文それぞれから感じられる。おかげで、大して歴史にも美術品にも詳しくない私でも、楽しんで観ることができた。
地方の一博物館の企画展とはいえ、伊達家はそれは大きな大名だから、もちろんなかなかの逸品が残っていて、それらを眺めるのは眼福だった。それらが使われていた往時を想像すると、また楽し。


上杉謙信所用という具足一領*1が展示されていたのだが、これは、兜の上に三宝荒神という三面の顔をもつ神さまの面がついた変わったデザイン。面の部分は紙に漆を塗って出来ている(そりゃ重いからな)というから、実戦で使うことはたぶんあまり考えられていないのだろうが、この兜を実際に身につけている姿を想像すると、顔の上に同じサイズでもう一個顔が載っかっているわけで、なかなか笑える図だと思う。
伊達家関連の具足がいくつか展示されていた中に、伊達家に嫁いできた姫様(名前忘れたけど)の具足があった。まず、これを見るまで女性用の具足というものが存在することを知らなかった*2。17世紀半ば〜18世紀の人ということだから、基本的には実際に使う(しかも女性が)必要性はなかったと思われるが、この時代はまだ戦国時代の名残があって、こうした具足が女性でも儀式的な物の一つになっていたのだろうか。解説に、「女性用なので肩にフリルがついていたりと女性らしいデザインになっている」というようなことが書かれてあって、「え?フリル?」と思ってよく見てみたら、たしかに肩に(申し訳程度に短くだが)フリルがついていた。(笑) ちょっと乙女チック。これは、西洋人の服のデザインから影響を受けたと考えていいのだろうか。しかもそれが「女性用だから」ついているのだとすれば、フリルが装飾として「かわいい」という認識も共有されていたことになる。これって、服飾史を考える上でもとても興味深いことなのではないだろうか。


こーんな感じで、退屈する暇がなかったですよ。

*1:具足(鎧兜)を数える単位を「領」ということを今回初めて知った

*2:甲冑の座り方(手の置き方など)が他の甲冑より女性っぽくなっていて、学芸員凝ってるなあと感心。(笑)