運慶

興福寺国宝展

仙台市博物館興福寺国宝展を見てきた。
会場にはいるとすぐ正面に、金剛力士立像・吽形が。すごいインパクト、存在感。しょっぱなからやられた。
木像だけどオーラを発しているような立ち姿。その筋肉の躍動感と小柄な姿で気張って立つ姿を見ていたら、わけもなく感動してしまった。
なんてここで書いても意味はないかもしれない。これは実物を見ないと伝わらないだろうな。自分は写真で見てもわからなかったもの。
隣に揃って並んでいた四天王像やその他の仏像も、迫力があったり美しかったりユーモラスだったりして、それぞれ見る価値のあるものだったしおもしろかったけど、この吽形と、運慶作の世親と無著の二つの菩薩立像は個人的には別格だったね。この二体の中では特に無著の慈悲の溢れる姿に胸を打たれて、しばしの間じっと見つめてしまった。
着物のヒダで表現される動きとか、いかつい顔であるとか。時代や一門の傾向としてある程度の形というのは決まってくるのだろうけど、ここには技術力だけではない何かが込められているように感じた。こういうのを本当の天才の仕事というのだろうと、いたく感動したのだった。
会場には若い人も子供もいたから一応幅広い世代がいることにはいたんだが、それでも圧倒的にお年寄りが多かった。仏像なんて見るのはお年寄りの趣味ってことなのかね。でも、あの吽形や四天王像、それに天燈鬼立像なんかは逆に若者にこそウケルと思うんだけどな。かなりロックっすよ(意味不明)。
これを見ないのは勿体ない。展示会は明日で終わるけど、今後まだ巡回するらしいし、それでなければ一度興福寺に行って見るのもいいかもしんない。


帰りに、常設展も江戸時代の部分だけ覗いてきた。
支倉常長が持ち帰ったものとか、林子平の書いた書物やその翻訳書(そんなのが出てるなんてすごい)等々、なかなか興味深かった。他にもちらっと見ただけだけど、伊達騒動の時代の資料や解説があったり。
考えてみれば仙台は伊達家という大きな大名の城下町だったのだから、歴史上の出来事にも資料にも事欠かないのだった。
自分は以前、林子平の墓がある龍雲院があるために名付けられた(確か、町名が変わったのはわりと最近の話)子平町という町に住んでいて、しかも寺の目と鼻の先に住んでいたにも関わらず(アパートの隣が寺の墓地でした(^^;)、この人のやったことを全然知らなかった。博物館にも一度何かの特別展で行った覚えはあるけど、常設展を見たのはこれが初めて。
住んでいるときにもうちょっと見て知っておけばよかったなあ。