交渉人 真下正義

交渉人 真下正義

交渉人 真下正義」を観てきた。
踊る2でパトレイバー*1の下手くそなまねっこをしたかと思ったら、今度はパト2かよ。
というのが、観ていてまず感じたこと。観てる人は、観ればわかります。
ほんと、好きなんだろうねえ。でもオマージュっていっても、こう特定の作品からぞろぞろと借りてきてるのを観ると、あからさますぎて笑っちゃう。
そして、カメラが常に動いていれば臨場感とスピード感を演出できると思っている下手っくそなカメラワークにイライラ。
もうどうせなら、押井を呼んで撮ってもらっちゃえよ。で、スタッフは大好きな押井のカメラワークを一から勉強しなおせば。


というのはさておき、地下鉄というアイディアはいいと思う。飛行船でもいいんだけど(笑)、列車一台暴走させるだけでダイヤを人質に取れるというのは大きい。そういうスケールの大きい話を邦画でやっていることは評価したい。肝心の暴走列車クモE4は変なデザインの安っぽいCGなんだけどさ。
途中までの、地下鉄の危機をどう回避するかというところにポイントが絞られている部分は結構よかった。そこを交渉術で解決していくんだろうと思われたから。しかし、ボレロがどうの、という話になってきたところから雲行きが怪しくなってきた。まともな交渉術で話が構成できないから目先を変えただけのように思えたし、サスペンスとしてのリアリティ自体も怪しくなってしまった。
ラストだって、「犯人は誰だったんでしょうね」って、それは警察が言う台詞じゃないだろう。こっちが聞きたいよ。脚本家は謎を残せばかっこいいと思ってるんだろうか。でもこれはフォーンブースとはわけが違うぞ。
とまあいろいろ書いてしまったが、退屈させないような「交渉人もどき」をつくろうとした意気は買う。一応考えて作っているっぽかっただけ、踊る前二作よりはまし。これで、ベタに叙情的な音楽や演出(踊る映画に共通の駄作要素ですな)がなくなればもっとましになるんだが。
それに、寺島進松重豊高杉亘國村隼と、渋くてかっこいい男性俳優が出てきてうれしかったさ。シンバル奏者でさりげなく登場した今井朋彦(あれは全員(指揮者除く)本物のオーケストラ団員を使っているんだと思ってたので、かなり意表を突かれた。いたのかよ!って感じで)も。

*1:次の日のところでも訂正してるけど、これ、パト2だった。訂正します。