華岡青洲の妻

過不足ない演出と編集で、45分間があっと言う間。密度の濃いドラマだ。こういうふうに簡単に時間を経過させて違和感がないのは短期シリーズものの時代劇のいいところかもしれない。それにしたって、語り口のうまさがあってこそなんだけど。
和久井映見は演技がうまいなあ。今日の娘を亡くして悲しむ演技を見て、改めてそう感じた。
このドラマは役者に恵まれているね。田中好子と和久井の争いようも、嫁姑の争いの怖さの中にどこか女のかわいらしさが感じられるのは、二人の役者の演技のおかげだろう。谷原章介は二人の間では少し存在感が薄いけれど、独特の雰囲気があっていい。うまく食らいついていってる感じ。
あと、このドラマの音楽の付け方のベタさ加減もいい。於継が加恵に嫉妬した行動をとるときは、音楽もホラーさながらに。音楽ではっきりと話の方向性を指し示してしまう。今回の加恵の麻酔実験が終わった後、加恵を後目に於継と青洲が実験の成功を喜んでいるときは明るい音楽、(目が見えなくなったらしい)加恵が声を出すと一転して暗い音楽がかかる、という演出は、ある意味残酷だった。