ヒットラー 2巻 独裁者の台頭

先週見たテレビ映画の後編。1巻を見た時点では、これはヒトラーの一生を描いていると思いこんでいたんだが、実際にはヒトラー独裁政権誕生までだった。原題が「Hitler : The Rise of Evil」なんだからそうか。
このドラマでは、ヒトラーがいかに巧みに合法的・政治的に勢力を拡大していったのか、ということがわかりやすく示されている。はやる突撃隊を押さえつけ、議会での議席数をじわじわと増やし、ついには首相の座を手に入れ、そこまで来たところで一気に攻め入り、大統領が亡くなった機に乗じて全権を掌握する。それだけできたということは、彼が冷静で頭のいい戦略家だったということなんだろう。
マスメディアや市民が考えることをやめている間に、着実に国と政治の仕組みを変えていく。最大の問題は政治への無関心だということ。ヒトラーの存在そのものより、そこに、現代にも通じる怖さを感じた。と、月並みな感想だけど。
90分の前後編(1、2巻)の合計3時間。その中でヒトラーが政治の世界に身を投じてからも十数年の月日を描くわけだから、展開はかなり早い。勢い、ドラマ部分は表層的になってしまっている。特に、印象的な女性が数人登場するにも関わらず、彼女たちとヒトラーとの関わりの深さがうまく描かれていなかったのが不満。ま、このドラマは「こういう出来事があったのだ」ということを認識するために見るのがいいのだろうけど。
ロバート・カーライルについては、1巻の時点では彼自身のことを意識して見ていたんだが、2巻ではヒトラーにしか見えなくなっていた。さすが役者! 昂揚して話す姿が、いかにもイメージするところのヒトラーぽくって感心した。