義経

冒頭では「ロケはやはり開放感があっていいなあ」とちょっとだけ思わされたけど、その後の演出がね・・・。
いや、合戦場面からその片鱗はあったのだが。全体を通して場面展開はぶつ切りだし、アップがやたら多い。そのせいで、時間の流れが見えにくいし、せっかくのセットやロケの広さが感じられない。それは翻って、描かれる平安末期の舞台そのものを狭く見せてしまっている。
黛りんたろうってそれなりに演出経験のある人のはずなのに(大河では「花の乱」「秀吉」を手がけているらしい)、なんでこんなに下手なんだろう。
それとこれは脚本の問題だが、台詞に説明口調が多いのも気になった。初回ということで、登場人物の紹介や背景の説明をしなければならないから仕方ないのだろうとは思うが。こちらについては二回目以降こなれてくることを期待したい。
役者の演技は、まだそれぞれがドラマの調子をつかみきれていなくて少しバラバラといった印象。基本は「ザ・大河」という感じではあるけれど。中でも浮いていたのが松坂慶子。この人は大女優風を吹かせてるだけで、演技はいつも同じ。あとは作品にはまるかはまらないかだけなんだよな。
楽しみにしていた神木隆之介の牛若は最後に少し出てきただけで、まだ演技をどうこう言える段階ではなかったのが残念。
その代わりといっては何だが、幼少の頼朝役を演じた少年がとても上手かった。顔がソニンに似てるな、誰だろう。なんてことを思いつつ見ていたんだが、後で調べてみたら、池松壮亮といって、あの「ラストサムライ」で小雪の長男役をした子役なのだった。あの子か! 全然気がつかなかった。そういえば映画を観たときも上手い子だと思ったんだよなあ。彼は今年の春公開の冨樫森監督の「鉄人28号」で金田正太郎役らしい。こりゃ楽しみだ。