ザ・ハリケーン

日中適当にチャンネルを変えてたら偶然BS-iで始まるところだった映画。
人種差別によって殺人事件の罪を着せられ終身刑となった黒人ボクサー、カーター(愛称がハリケーン)が、無実を証明して釈放されるまでの話。実話らしい。主演はデンゼル・ワシントン
カーターが獄中で書いた本を読んだ黒人の少年との交流を描くことで、彼の冤罪の主張を直接的にではなくワンクッション置いて見せているのがいい。
この、少年とカーターとの交流のシーンはとてもいいんだけどね。後半、少年と少年の保護者になっている白人青年3人のグループがカーターの冤罪を晴らそうと動き出すところから、話の焦点が裁判自体に移ってしまう。証拠を集めたり、何者かに脅されたり。サスペンス風味が入ったせいで話が妙に安っぽくなってしまった。
実際にそういうことがあったのかもしれないが、中途半端にエピソードを入れるよりは、最後まで社会派ドラマ(この話の根幹にあるのは人種差別問題)もしくはヒューマンドラマとして描いた方がよかったんじゃないだろうか。少年達の背景もあまりはっきりとしないことだし。カーターの冤罪を晴らすためだけにみんなでカナダからアメリカにある刑務所の近くに移住するなんて、そんな簡単にできるんかいな。映画を見ただけでは彼らがそこまでのめり込むほど交流が深いようには見えなかった。その部分に時間をかければもう少し見方が変わってきたかもしれない。
でもまあ最後まで飽きずに見られておもしろかったけどね。
ラストで実際の後のカーターの姿が示され、彼らのその後が文章で現れるところではさすがにちょっとジーンときてしまった。