BSマンガ夜話セレクション・百鬼夜行抄

このマンガを知ったのはわりと最近のことで(去年か一昨年くらいかな)、BS夜話で取り上げていたことを知ってずっと見たいと思っていたのだ。だから今回の再放送はうれしい。
内容については珍しいくらいみんなべた褒め。番組的にはつまらないかもしれないけど、やっぱうれしいわ。そうなんだよ、うまいんだよ、この作者は。一つ話を読み終えると思わず唸ってしまうような、構成と語り口とストーリーのうまさ。
夏目の目は、異界のものの表現の仕方と作者のそういうものに対する意識のもち方について。でもなんか切れ味悪い感じが。岡田の目(そんなのもあったのね)では、このマンガは「低血圧マンガ」というジャンルになるという話と、話の底流にあるのは諦観である、という指摘。諦観と言われてみれば確かに。そういう感じ、というのは見ているとなんとなくわかる気はするのだが、具体的に言葉で表されたことにより頭の中ですっきりと整理がついた感じがする。
そんなわけで物語の内容についてとその表現についての話が多かったわけだけど、できれば夏目の目辺りではマンガとしての構造的な部分についての指摘も欲しかったな。あの伏線の張り方はミステリとしても十分読める水準(読みながら何度もページを戻って確認してしまう)なのだから。私などは怪奇マンガとして読んでいたらこの構成の見事さにすごく感心してしまったわけで。岡田が最初の方でさらっと言ってたけど、それだけじゃ満足できーん。
まあ、でも念願の番組が見られてよかった。あとは、以前はBSを見られなかったんで見逃している、マスターキートン動物のお医者さん陰陽師の回の再放送を希望。以前は番組内容をそのまま文字にした本があってそれをたまにヴィレッジ・バンガードで立ち読みしていたんだけど、今は出てないみたいだし。